予定よりかなり時間が過ぎてしまいました。
ここからは、香川県内のの丹下作品について伺いたいと思います。
まず、「香川県立体育館」の話を神谷先生に伺いたいと思います。これはどういう計画だったんでしょうか?
この設計はちょうどわれわれが吊屋根の競技場の「東京オリンピックプール」を設計している真っ最中でした。スタディーの段階で、最初のうちはこういう吊屋根でした。段々とこのように変わっていくんですが、この辺りのデザインを丹下さんがちゃんと覚えてまして、香川に来て知事さんと相談して、帰ってきた時には、これに足をつけて今の形に近づけた。そういうスケッチをすでに持ってきていました。 これだったらすぐ出来ますねというわけです。事務所ではこの設計をする人も時間もなかったですから、長年我々といっしょに協力してやっていたグループにお願いして現在の体育館の設計ができました。
私も工事中は何回か、もちろん来て見ています。
図面の黒い部分が柱なのですが、この場所は海に近く、地盤も悪かったので杭を必要とする部分、つまり柱を集中させたということです。
そういうことです。この軒裏の造形は香川県庁舎の天井のデザインから来ています。県庁舎とも関係があるということを覚えておいてください。
それと側梁の上部にある丸い凹みは飾りじゃなくて、屋根のケーブルを引っ張ってアンカーする仕掛けがあるんです。その仕掛けを露出させておくと錆びてしまいますので、引っ張った後埋めたものです。